国道5号余市札幌間 張碓峠旧道 その5(おまけ)
前回
小樽の斜度看板たち
最急勾配の20%は朝里市街地から朝里橋を渡った先の坂の頂上当たりにある。国道から山側に入る市道のごくわずかな距離。短すぎて辛さを体感する前に終わる。
それでも一気に10mほどは登るので景色はよい。
そのまま登っていくと14%が出てくる。
写真では伝わりにくいが結構長くて辛そう。この日はまだ80km以上走る予定なのでこれは登らなかった。
最急勾配タイは、色内の「磯鮨」と「たけの寿司」の間にある。直角カーブの先に100mほど続いている。半分まで登ってパス。
小樽駅前を通過ししばらくすると、余市方面に向かう国道5号は左折する。そこを曲がらずに直進すると、この19%が現れる。右の写真を撮るために止まったら、再始動できなかった。
おまけのおまけ
これだけで終わっても味気ないので、法令をすこし持ち出してみる。
これら斜度看板は、正式には「上り急勾配あり」、「下り急勾配あり」という名前である。
道路標識は、道路法45条1項に法律の根拠がある。
道路法45条1項 道路管理者は、道路の構造を保全し、又は交通の安全と円滑を図るため、必要な場所に道路標識又は区画線を設けなければならない。
で、具体的な定めは法律ではなく、内閣府と国交省の命令である、内閣府令・国土交通省令にある。
道路法45条2項 前項の道路標識及び区画線の種類、様式及び設置場所その他道路標識及び区画線に関し必要な事項は、内閣府令・国土交通省令で定める。
これを受けた内閣府と国交省の命令は、どんな看板をどこに設置するかを、文章ではなく表で規定している。
道路標識、区画線及び道路標示に関する命令2条 道路標識の種類、設置場所等は、別表第一のとおりとする。
別表第一(第二条関係)
上り急勾配あり
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(212の3)
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勾配の急な上り坂の始点の手前三十メートルから二百メートルまでの地点における左側の路端
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下り急勾配あり
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(212の4)
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勾配の急な下り坂の始点の手前三十メートルから二百メートルまでの地点における左側の路端
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さらに、どんな図案にするかも、同命令は規定している。
道路標識、区画線及び道路標示に関する命令3条 道路標識の様式は、別表第二のとおりとする。
別表第二(第三条関係)
上り急勾配あり(212の3)
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下り急勾配あり(212の4)
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さらに、看板の大きさや、柱の高さに関しても、同じ別表第二に規定されている。このような正方形の看板は「警戒標識」であるので、その規定だけを示す。
別表第二(第三条関係)
本標識板及び柱の規格
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以上をまとめると、斜度看板は一辺45cmの正方形でその中心が地上1m以上にあるものを、坂の手前30mから200mの間の左側に設置しなければならない。これにのっとっていない看板は無効である。まあ「斜度看板が無効だ!」と叫んで坂に突っ込んでもどうしようもないのだが、これが「右折禁止」や「追い越し禁止」とかだと話が変わる。無効な看板によって取り締まりを受け、それによって免停やゴールド免許喪失になった場合、行政不服審査請求や取り消し訴訟を提起できる可能性がある。走行中に看板や高さを目測できるなら試してみるのもありだろう。教唆の趣旨ではないので悪しからず。
(おまけ終わり)
つづく