稚内駅の距離看板 その3
前回
完全にタイトル詐欺化している気がするが継続する。
本州
本州内はルート候補がたくさんあるが、姫路以西は山陽新幹線一択である。ほかに、山陰本線経由が考えられるが、和田山駅から新山口駅まで、山陰本線~山口線で489.4㎞に対し、播但線~山陽本線(新幹線・岩徳線経由ですらない)経由で470.1㎞であり、勝ち目はない。
岡山駅~新倉敷駅間のみ山陽本線経由の方が短い。それ以外は新幹線の実キロで計算する。
姫路駅(75.0㎞)岡山駅(25.2㎞)新倉敷駅(290.4㎞)新下関駅=390.6㎞
では、新青森駅から姫路駅までのルートを考える。
この区間は、大まかに以下の地図のようなルートがありうる。
まず、
①東北新幹線~東海道新幹線という、看板通りのルート(赤線)・・・東北・東海道ルートと呼ぶ
②日本海沿いに奥羽・羽越本線~北陸新幹線・本線~小浜線と進むルート(青線)・・・日本海ルートと呼ぶ。
そして、日本海ルートから東北・東海道ルートに抜けるものとして、
③秋田から福島までを奥羽本線(水色線)
④新潟から首都圏までを上越新幹線(黄緑線)
⑤長野から愛知までを中央本線(緑線)
さらに、名阪間のより直線的ルートとして、
⑦関西本線(黄色)
また、大都市内等では細かいルートの違いがありうる(例えば、新発田駅~長岡駅を新津駅経由とするか、新潟駅経由とするか)が、それらは別に検討する。とりあえずは、以上の7ルートが骨格となろう。
では、東北・東海道ルートを見る。東北新幹線・東海道新幹線・山陽新幹線のうち、並行在来線の営業キロの方が短いのは、盛岡駅~北上駅、大宮駅~上野駅、米原駅~新大阪駅の3区間である。
新青森駅(178.4㎞)盛岡駅(47.8㎞)北上駅(417.3㎞)大宮駅(26.7㎞)上野駅(3.6㎞)東京駅(408.2㎞)米原駅(106.7㎞)新大阪駅(85.9㎞)姫路駅=1274.6㎞
新青森駅(181.9㎞)秋田駅(245.7㎞)新発田駅=427.6㎞
新発田駅から長岡駅までは、先述のように①羽越本線~新津駅~信越本線経由、②白新線~新潟駅~上越新幹線経由の二つが候補となる。
①新発田駅(26.0㎞)新津駅(48.1㎞)長岡駅=74.1㎞
②新発田駅(27.3㎞)新潟駅(55.7㎞)長岡駅=83.0㎞
というわけで、ここは①の方が短い。
北陸新幹線開業の影響で、本記事のルールでは直江津駅から西や南にはJR線では進めなくなってしまったので、北陸新幹線に到達するには飯山線を経由する必要がある。
長岡駅(3.0㎞)宮内駅(19.8㎞)越後川口駅(77.5㎞)飯山駅(198.2㎞)金沢駅(130.7㎞)敦賀駅=429.2㎞
仮にえちごトキめき鉄道日本海ヒスイラインを経由できていたら、同区間は374.1㎞となり約50㎞短縮できていた。この差は大きい。
さて、敦賀駅から姫路駅までは3ルートが候補になる。①小浜線~舞鶴線~山陰本線~播但線、②湖西線で山科駅から東北・東海道ルートに合流、③福知山駅から福知山線~加古川線で加古川駅から東北・東海道ルートに合流、である。②は、最初の地図での⑥橙線にあたる。
①敦賀駅(84.3㎞)東舞鶴駅(26.4㎞)綾部駅(42.8㎞)和田山駅(65.7㎞)姫路駅=219.2㎞
②敦賀駅(14.5㎞)近江塩津駅(74.1㎞)山科駅(44.5㎞)新大阪駅(85.9㎞)姫路駅=219.0㎞
③敦賀駅(84.3㎞)東舞鶴駅(26.4㎞)綾部駅(12.3㎞)福知山駅(33.5㎞)谷川駅(48.5㎞)加古川駅(15.7㎞)姫路駅=220.7㎞
僅差だが、湖西線ルートが最短となった。山陽新幹線がなかったら224.8㎞だったので、一気に最下位転落だった。新幹線は強い。
さて、これで日本海ルートの最短が出た。新青森駅から新津駅、飯山駅、金沢駅、湖西線を経由して姫路駅までの距離は、
427.6㎞+74.1㎞+429.2㎞+219.0㎞=1149.9㎞
東北・東海道ルートに124.7㎞の大差をつけての勝利である。
この時点で、奥羽本線経由の水色線、新潟から首都圏まで抜ける黄緑線の検討価値はなくなった。一応結果だけ書くと、新青森駅から福島駅まで東北・東海道ルートで419.7㎞に対し、秋田駅~奥羽本線経由の水色線は480.6㎞、新青森駅から小田原駅まで東北・東海道ルートが750.5㎞に対し、新津駅~長岡駅~上越新幹線~八高線~相模線経由(東京駅経由よりも八高線経由の方が短い)の黄緑線は802.0㎞。どちらも勝負にならない。これは、対東京駅で見ても同じである。
ここで、東京駅までの距離が確定した。函館駅までの678.9㎞から、新函館北斗駅~函館駅分の17.9㎞を引き、北海道新幹線148.8㎞を足し、さらに東京駅までの最短経路である東北・東海道ルート673.8㎞をあわせて、東京駅までの距離は1483.6㎞である。看板の距離1574.5㎞よりも90.9㎞短くなった。
次は、東北・東海道ルートのショートカットルートとなる可能性のある、名古屋駅から関西本線経由の黄色ルートの検討をする。着駅は、以西が山陽新幹線一択となる西明石駅とする。この間、大阪市を経由するのでルート候補も多くなる。そのため、細かく潰していく。その前に、草津線経由の可能性を消す。
①名古屋駅(66.2㎞)米原駅(45.5㎞)草津駅=111.7㎞
②名古屋駅(79.9㎞)柘植駅(36.7㎞)草津駅=116.6㎞
草津線が最短とならない以上、関西本線で木津駅までは出る必要がある。
名古屋駅(126.9㎞)木津駅
また、一度大阪駅に着いた場合、①新大阪駅から山陽新幹線経由よりも、②そのまま在来線を進む方が距離は短くなる。
①大阪駅(3.8㎞)新大阪駅(54.8㎞)西明石駅=58.6㎞
②大阪駅(33.1㎞)神戸駅(22.8㎞)西明石駅=55.9㎞
以上を前提に考える。
最初に、木津駅から京橋駅までの経路を考えると、①関西本線~大阪環状線内回り(青線)、②関西本線~おおさか東線~片町線(黄黒線)、③片町線(赤線)、の三通りがある。
①木津駅(44.5㎞)天王寺駅(6.5㎞)京橋駅=51.0㎞
②木津駅(37.4㎞)久宝寺駅(9.2㎞)放出駅(3.2㎞)京橋駅=49.8㎞
③木津駅(44.8㎞)京橋駅
次に、京橋駅から尼崎駅を経由して西明石駅までは、①大阪環状線内回り~東海道本線、②JR東西線~東海道本線の二通りがある。
①京橋駅(4.2㎞)大阪駅(55.9㎞)西明石駅=60.1㎞
②京橋駅(12.5㎞)尼崎駅(48.2㎞)西明石駅=60.7㎞
したがって、木津駅から西明石駅までの「在来線のみ」での最短は、片町線~大阪駅経由で
44.8㎞+60.1㎞=104.9㎞
となる。これを、おおさか東線~新大阪駅~山陽新幹線経由(水色線)と比較すると、
木津駅(43.2㎞)鴫野駅(9.4㎞)新大阪駅(54.8㎞)西明石駅=107.4㎞
であり、在来線経由の方が短い。
以上より、名古屋駅から関西本線経由での西明石駅までの最短距離は、
126.9㎞+104.9㎞=231.8㎞
となる。
では、これは東海道ルートに勝っているのか。東海道ルートの距離は、
名古屋駅(66.2㎞)米原駅(106.7㎞)新大阪駅(54.8㎞)西明石駅=227.7㎞
残念。関ヶ原に大回りしていると言われる東海道新幹線だが、実キロで見ると、より直線的に見える関西本線経由でもわずかに及ばなかった。これ以上に東北・東海道ルートでショートカットしうる路線はないため、ここでこちらのルートは脱落である。
東北・東海道ルートの勝利が消滅したところで、最後に残った、飯山駅から名古屋駅に中央本線経由で抜けるルート(緑線)を検証する。新青森駅から飯山駅までの距離は602.0㎞、名古屋駅から西明石駅までは227.7㎞、西明石駅から姫路駅までは31.1㎞である。暫定最短の日本海ルートが1149.9㎞なので、飯山駅から名古屋駅までが289.1㎞以下であれば、このルートが最短と言うことになる。
飯山駅(29.9㎞)長野駅(9.3㎞)篠ノ井駅(66.7㎞)塩尻駅(174.8㎞)名古屋駅=280.7㎞
ということで、8.4㎞差で中央本線経由の方が短いという結果になった。
しかし、これで終わりではない。このルート(中央本線ルート)、さらに短くできる。
中央本線は多治見駅から先、県都名古屋に向かうために南西に進路を取る。そのため、多治見駅から米原駅で見ると、①大きく南に迂回した経路となっている。そこで、②多治見駅から太多線~高山本線~東海道本線とつなぐと、
①多治見駅(32.9㎞)金山駅(3.3㎞)名古屋駅(66.2㎞)米原駅=102.4㎞
②多治見駅(17.8㎞)美濃太田駅(27.3㎞)岐阜駅(49.6㎞)米原駅=94.7㎞
となり、さらに7.7㎞短くなる。これが、真の最短経路になる。
以上まとめると、新青森駅から新下関駅の経路は以下のようになる。
新青森駅・奥羽本線~羽越本線~信越本線~上越線~飯山線・飯山駅・北陸新幹線・長野駅・信越本線~篠ノ井線~中央本線~太多線~高山本線~東海道本線・新大阪駅・山陽新幹線・岡山駅・山陽本線・新倉敷駅・山陽新幹線・新下関駅
そして、その距離は、
米原駅~姫路駅=192.6㎞
姫路駅~新下関駅=390.6㎞
したがって、1524.4㎞となる。
これに、新青森駅までの809.8㎞と、新下関駅から鹿児島中央駅までの331.6㎞を足すと、指宿枕崎線各駅までの距離も出せる。指宿駅までの距離は2711.5㎞、西大山駅までの距離は2722.5㎞、枕崎駅までの距離は2753.6㎞で、看板の距離よりもそれぞれ372.5㎞短くなった。
ちなみに、この経路で実キロを用いない場合は2856.7㎞、切符を発券した場合、運賃計算キロは2908.1㎞となり、運賃は28600円、16日間有効となる。所要時間は臨時列車の有無や平日土休日でも変わるが、2泊は必要で計56時間以上と思われる。経路上絶対に新幹線に乗る必要がある新函館北斗駅~新青森駅、飯山駅~長野駅以外を普通列車のみでつなぐと、5日目の指宿枕崎線始発で枕崎駅に到着できるようである。この二つの新幹線の料金は最低で計4880円なので、この切符の旅行は33440円+宿等あればできる。最長片道切符が10000㎞以上で90000円以上はすることから考えれば、少し趣向を変えたこの切符はお手軽ではないだろうか。というより、YouTubersの「最長片道切符がすごすぎた!!」的なのに飽き飽きしてるので、彼らには少しひねったものを考えてほしい次第である。
最後に、今後の新線開業で、ルートが変わりうるか考えてみる。
直近で関係する新幹線開業が、北陸新幹線敦賀延伸である。これにより、金沢駅~敦賀駅が5.6㎞短縮となる。現状、日本海ルートは中央本線・太多線ルートよりも16.1㎞長いので、これでは逆転しえない。ただし、京都・大阪までの延伸時に、湖西線経由より10.5㎞以上短縮できると、こちらが最短となる。ルートは決定していないものの、東小浜駅付近~京都駅が限りなく直線に近い場合には、可能性は残されている。
次が、2027年予定の中央新幹線である。所要時間もさることながら、品川駅~名古屋駅で49.6㎞短縮される計画である。しかし、東北・東海道ルートは日本海ルートにすら100㎞以上の差で負けているので、これも変化はない。その後、新大阪駅延伸でも合計で70.0㎞の短縮にとどまるので、変化はない。
2031年、北海道新幹線札幌延伸により、新函館北斗駅~小樽駅~札幌駅は56.9㎞短縮される。これにより、函館駅までの距離では次のようになる。
稚内駅(259.4㎞)旭川駅(136.8㎞)札幌駅(211.5㎞)新函館北斗駅(17.9㎞)函館駅=625.6㎞
前回求めた距離(室蘭本線経由で678.9㎞)よりもさらに53.3㎞短縮される。東京駅以南でも同じ距離が減算される。
なにわ筋線は、北梅田駅(仮)~JR難波駅間3.9㎞の予定である。木津駅~天王寺駅~JR難波駅が48.0㎞であり、木津駅~片町線~大阪駅が49.0㎞なので、なにわ筋線開業も影響はない。
羽越新幹線上越妙高駅~長岡駅は、柏崎駅経由で75.3㎞が想定されている。この場合、両駅間では54.6㎞の短縮となる(長岡駅~飯山駅では飯山線経由が最短のまま。)。これが実現すると、北陸新幹線京都延伸を待たずして北陸新幹線経由が最短となる。