宗谷本線はどうなるのか その2

前回

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前回と同じく、緑が21年改正での廃止駅、赤が自治体管理駅、青がJR管理継続駅である。南線と比べ、圧倒的に赤が多い。ひとまず緑を消してみると、

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26駅中15駅が赤駅である。

乗車人員数も見てみる。

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21年改正前には、1日に1人以下の駅がほぼ半分を占めていた。こんな駅を残して、各自治体はどうするつもりなのか、全く見当もつかない。

さて、JRが戦力外通告した15駅も無くして見てみる。

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随分とすっきりしたものだ。音威子府村、中川町、幌延町、豊富町の3町1村は各自治体1駅、名寄市美深町は2駅、稚内市は3駅。最長駅間は天塩中川から幌延までの37.5km、平均駅間は18.32km。九州新幹線の2011年開業区間(博多~新八代)が、最長駅間31.8km(熊本~新八代)、平均駅間18.57kmであり、なんと宗谷北線の「生きている駅」は新幹線と同程度の距離を走らないと出てこないということである。

コロナ前の運行本数も確認しておく(特急以外は現在も変わっていない)。

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もっとも本数の少ない音威子府幌延間は、1日に上下合わせて12本である。これだけ本数を減らしてもなお赤字というのが、救いようのなさを表している。この区間にある中川町は、高速バスすら停まらない(音威子府村旭川~枝幸方面、幌延町は留萌~豊富方面のバスがある)。根本的に旅客需要がないのだろう。

 

 

さて、宗谷本線は、南区間はまだ多少の需要はありそうであるが、北区間は駅利用数、列車本数どちらからも絶望しか伝わってこない。こうなったらよっぽど思い切った策が必要ではないだろうか。例えば、「全列車急行化」である。

まず、赤駅を全部廃止してしまう(これはいずれそうなるだろう)。すると、現在特急が停車しない駅で存続するのは、名寄市の智恵文駅、美深町の初野駅、稚内市の勇知駅の3つだけになる。そしたら、全列車を全駅に止めたうえで、種別を急行にしてしまう。さすがに特急では料金が高いのと、定期急行復活と銘打てば集まる人は集まるという算段である。沿線住民には、現在も行っている10円料金券を「自治体の差額負担で」配布なり販売なりすればいい。この差額をJRが持っていては赤字は埋まらない。鉄道を残したいなら自治体も金銭で協力しなければなるまい。

車両は、現在のキハ261系などという贅沢品は必要ない。H100系が宗谷北線に入線できるならば、それに座席番号を付けれて1~2両も繋げれば十分である。立席急行券と称して自由席料金でも販売すれば詰込みにも対応できる。どうしても需要が旺盛なシーズンは、1~2往復程度を臨時特急として運転し、キハ261系5000番台を充てればよい。そのための車両なのだから。

全列車急行だからといって、青春18特例なども設けてはならない。とにかく取れるところからきっちり取る必要がある。それでも黒字になるはずはない。もはやそんなレベルではない。せいぜい数年の延命が限度だろう。

 

まあ妄想なので何とでも言えるわけであるが、仮にH100系が北線に入れない事情があるならば、キハ54引退をもって北線の普通列車運行は終了だろう(さすがに40はもういないはず)。わざわざ大赤字路線にあわせて特殊形式をつくるような余裕をかましているほどJRの財政は甘くない(北海道新幹線が大成功すれば別だが、東京まで4時間を切れるならともかく、この大地で新幹線安泰論は通用しないだろう)。途中駅全廃止・キハ261統一で全特急化・青春18特例なしで10年程度生き延び、キハ261系基本番台の廃車とともに名寄以北全廃がいいところではないだろうか。「宗谷本線はどうなるのか」と聞かれれば、「(国や自治体が巨額を出すなら別として、)少なくとも北線はそのうち廃止」で違いないだろう。

 

終わり