国道5号余市札幌間 忍路トンネル旧道 その4
前回
緑に覆われてはいるが、この辺りもそうとう切り立った斜面だ。
落石覆いネットに落石受け、コンクリ吹付、ロックボルト(アンカー?違いが判らない)と、多様な防災工事が施されている。それだけ崩落しやすい斜面だと言うことだ。これだけの工事に金と時間をかけ、それでも安全とは判断されず新トンネルによる回避となったのだろう。安全が金で買えるならいいのかも知れない。
これだけの工事でもなお危険度が高いと判断されたのだろう、この区間唯一の覆道が「忍路覆道」だ。もしかしたら雪崩を受け流す役目もあったのだろうか、海側に向かって傾斜している。
看板に付けられたピクトグラムもわずかな傾斜をしっかり反映している。これは開発局の遊び心なのか、ただ現実に忠実なのか。
潮風に晒され続けた宿命ではあるが、歩道の柵の錆がひどい。というよりなぜ覆道内だけ歩道があるのか。前後にはバス停にしかないのに。
覆道内から忍路市街方面。人家がぽつぽつとあり、道路の施工の城白が目立つが、あとは一面緑。正面右の小さい山は、吹きあがったマグマが冷えてできたらしく、海側から吹きあがりの跡がわかるらしい。本当かよ。
覆道から先は落石受けが続く。これだけ植物が根付いてもなお危険なのか。素人には分からない。
余りに看板の色が鮮やかで、本当に廃道なのか疑いたくなる。交通量の少ない海沿いの道路と言えば、現役と言っても通じそうなほどに綺麗なままだ。ツーリングのバイクが追い越していっても驚かないような気もする。実際には、海から運ばれた砂や、タヌキの糞がそのまま残っていて、管理されていない道なのは明瞭なのだが。
この先の右カーブからは、桃内トンネルが真っ直ぐに見えるはずだ。ここにいても既に、廃道化工事のトラックの音が風に乗って聞こえてきている。残念ではあるが、今回はここまでと言うことになる。忍路・桃内トンネルの工事は来年3月末で終わるようなので、その後にまた訪れ、この先に行ってみることにする。
安全が金で買えるならいいかもしれないと言ったが、この景色が見れなくなってしまうのはもったいないと思う。もちろん豊浜トンネル事故だったり飛騨川事故だったりの教訓が重要なのはわかるし、人命に代わる価値はないのだろうが、遊歩道程度でも残せたらと思わないでもない。
(一旦終わり)